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農地付き空き家の売却|農地法の壁・農振除外・転用手続きを千葉県で解説

農地付き空き家の売却は農地法の規制があるため、通常の不動産売買より複雑です。農地を農地のまま売却するには農業委員会の許可(農地法第3条)、転用して売るには都道府県知事の転用許可(農地法第5条)が必要で、農振農用地区域では転用が原則禁止です。千葉県は農業県であり農地付き空き家が多く、専門的な対応が求められます。

千葉県は全国有数の農業県です。市原市・山武郡・香取市・旭市・銚子市など内陸・北総エリアには農地が点在し、農地に隣接した住宅や農地付き古民家を相続するケースが少なくありません。農地は農地法という特別な法律の規制下にあるため、通常の空き家売却と同じ手順では対応できません。本記事では農地付き空き家の売却手順・農地法の壁・農振除外・費用・期間を2026年5月時点の実務情報で解説します。

監修:有資格者ネットワーク(宅地建物取引士・行政書士)/参考:農地法(昭和27年法律第229号)・農業振興地域の整備に関する法律(農振法)・農地法施行令・農業委員会業務等に関するガイドライン(農林水産省)

農地付き空き家の売却はなぜ難しいのですか?

農地は「耕作する者が所有する」という農地法の基本理念のもと、売買・転用に行政の許可が必要。農地転用が認められない地域では売却先が大幅に限られ、買取価格も低くなります。

農地法の基本理念

農地法(昭和27年法律第229号)は、農地を農業以外の目的に転用することを規制し、農業生産基盤を守ることを目的としています。そのため農地の売買・賃貸・転用には原則として農業委員会または都道府県知事の許可が必要です。

空き家と農地が一体になっているケース

千葉県内では以下のような「農地付き空き家」が多くみられます:

これらのケースでは、住宅部分と農地部分を分離して売却するか、一体として売却するかによって手続きが大きく変わります。

農地法の3条・4条・5条の違いは?

3条は農地のまま所有者が変わる場合の許可(農業委員会)、4条は農地を転用するだけの場合の許可(都道府県知事等)、5条は農地を転用しながら所有者も変わる場合の許可(都道府県知事等)です。

条文内容許可主体市街化区域の扱い
農地法第3条 農地を農地のまま権利移転(売買・贈与・賃貸等) 農業委員会 農地のままの場合は同様に3条許可必要
農地法第4条 農地の所有者が自分の農地を転用(宅地・駐車場等に変える) 都道府県知事(4ha超は農林水産大臣) 農業委員会への届出のみ(許可不要)
農地法第5条 農地の転用と権利移転を同時に行う(売買して宅地にする等) 都道府県知事(4ha超は農林水産大臣) 農業委員会への届出のみ(許可不要)

空き家売却で最も使う農地法第5条

農地付き空き家を宅地業者や個人に売却し、その農地を宅地・駐車場などに転用する場合は農地法第5条の許可が必要です。農業委員会への申請→農業委員会の審議→都道府県知事の許可というプロセスを経ます。市街化区域内の農地であれば届出のみで許可は不要ですが、千葉県内の農業地域(市街化調整区域・非線引き区域)の農地は第5条許可が必要です。

農振農用地区域とは?除外手続きを解説

農振農用地区域(農業振興地域の農用地区域)に指定された農地は農地転用が原則禁止。売却・転用のためには「農振除外」の申請が必要で、6〜12ヶ月以上かかる場合があります。

農振法とは

農業振興地域の整備に関する法律(農振法)に基づき、市町村が農業振興地域を指定し、そのなかで特に農業に利用する土地を「農用地区域」として農振農用地区域(農用地区域)に設定します。農用地区域内の農地は農地転用が原則禁止(農地法第4条・第5条の許可対象外)です。

農振除外の要件

農振農用地区域から除外(農振除外)するには、以下の要件をすべて満たす必要があります(農振法第13条第2項):

  1. 農用地区域以外に利用できる土地がないこと(代替地なし要件)
  2. 農業上の利用に支障を及ぼすおそれがないこと
  3. 農業振興地域整備計画達成に支障がないこと
  4. 土地改良施設の機能に支障がないこと(整備後8年未満の農地は原則除外不可)

農振除外の申請は市町村の農業振興担当窓口に行います。申請期間(年2回が多い)があり、審査・千葉県知事との協議を経て結果が出るまで6〜12ヶ月以上かかるのが一般的です。

千葉県内で農振農用地区域が多い地域

千葉県内では山武市・匝瑳市・旭市・香取市・銚子市・多古町など、北総・東総・香取エリアに農振農用地区域が多く設定されています。売却予定の農地がこれらのエリアにある場合は、まず市町村の農業委員会または農業振興担当窓口に農振内外の確認をすることを推奨します。

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千葉県の農地分布と売却上の注意点

千葉県は農業産出額が全国上位の農業県。内陸部・北総エリアには広大な農地があり、農地付き空き家の売却では農地の地域区分(市街化区域・市街化調整区域・農振農用地等)の確認が必須です。

千葉県の農地エリア別特徴

エリア代表市町村農地の特徴転用難易度
北総・香取エリア香取市・成田市・多古町・芝山町農振農用地が多い・大規模水田高(農振除外が必要な場合多)
東総エリア旭市・匝瑳市・銚子市畑地・農振農用地が多い
山武エリア山武市・九十九里町・大網白里市農地混在・一部市街化区域中〜高
外房エリアいすみ市・勝浦市・茂原市傾斜農地・兼業農家の農地
南房総エリア南房総市・館山市・富津市農地・別荘地が混在
都市近郊エリア千葉市・船橋市・市川市近郊市街化区域内農地(届出のみ)

市街化区域内農地は転用が容易

千葉市・船橋市・市川市・松戸市などの市街化区域内にある農地(いわゆる「生産緑地」解除後の農地等)は、農業委員会への届出だけで転用が可能です(農地法第4条・第5条の許可不要)。市街化区域の農地付き空き家は転用手続きが比較的容易で、売却しやすい環境にあります。

農地付き空き家の売却手順

農地の区分確認 → 農振外・市街化区域なら通常の転用許可申請 → 農振内なら農振除外から着手 → 農地法第5条許可 → 売買契約・決済の流れです。事前調査が最重要。

ステップ1:農地の地域区分を確認

まず当該農地が市街化区域・市街化調整区域・農振農用地区域のいずれに該当するかを確認します。確認先は市町村の農業委員会(農地法関連)と都市計画課(都市計画法関連)です。農地の地目(田・畑・農地)もあわせて確認してください。

ステップ2:農振農用地区域の場合は農振除外申請

農振農用地区域内の農地は農振除外申請が先行します。申請・審査・知事との協議を経て除外決定まで6〜12ヶ月以上かかります。除外が認められれば、ステップ3の農地法第5条申請に進めます。

ステップ3:農地法第5条転用許可申請

農業委員会に農地法第5条転用許可申請書を提出します。添付書類には転用目的・申請者の資力・転用後の利用計画・代替農地の有無などを記載します。農業委員会の審議(月1〜2回)→都道府県知事許可まで3〜6ヶ月程度かかります。

ステップ4:転用許可取得後に売買契約

農地法第5条の許可が下りたら、売買契約を締結します。許可を条件とした停止条件付き売買契約(許可前に仮契約)を活用する方法もあります。売買契約後、司法書士による所有権移転登記・地目変更登記(農地→宅地等)を行います。

農地転用申請の費用・期間の目安

農地転用許可申請の行政書士報酬は10〜30万円程度が目安。農振除外が必要な場合はさらに10〜20万円追加。申請から許可まで3〜6ヶ月(農振除外含む場合は合計1〜2年)です。

手続き費用目安期間目安
農地法第5条転用許可申請(行政書士報酬)10〜30万円3〜6ヶ月
農振除外申請(行政書士報酬)10〜20万円6〜12ヶ月
地目変更登記(司法書士・土地家屋調査士報酬)5〜15万円1〜2ヶ月
測量費用(境界確定・分筆が必要な場合)30〜100万円2〜6ヶ月

※上記は2026年5月時点の概算目安です。農地の規模・状況・市町村によって変動します。

費用を抑える方法

農地と住宅を分筆し、住宅敷地部分のみを先行売却する方法もあります。農地部分は農業委員会への届出・農業次世代人材投資事業などを活用して農家への売却や農地バンク(農業経営基盤強化促進法)の活用を検討することもできます。千葉県の農地バンク(農地利用最適化推進機構)に相談することを推奨します。

農地付き空き家の買取価格の目安

農地転用が見込める場合は宅地価格に近い評価、農振内で転用不可の場合は農地価格(大幅割引)。農地単独の千葉県内の参考価格は1坪5,000〜5万円程度ですが、エリア・地目・転用可否によって大きく異なります。

農地評価のポイント

建物付きの場合、住宅部分の価値と農地部分の価値を合算した総合評価で査定が行われます。無料査定の依頼手順を参照し、農地付き物件として明示した上で査定を依頼してください。

農地の相続税評価(参考)

相続税申告における農地の評価は、農地区分により異なります(純農地・中間農地・市街地周辺農地・市街地農地)。市街地農地は宅地比準方式で評価され、内陸部の農振農用地は倍率方式の低い評価になります。相続税計算の詳細は税理士に相談してください(相続空き家の税理士相談参照)。

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よくある質問

農地付き空き家はそのまま売却できますか?

農地部分は農地法の規制を受けるため、通常の不動産売買だけでは完結しません。農地を農地のまま売る場合は農業委員会の許可(農地法第3条)、農地を宅地に転用して売る場合は都道府県知事の転用許可(農地法第5条)が必要です。農振農用地区域は転用が原則禁止で、まず農振除外の手続きが必要です。

農地転用許可の申請にどれくらいかかりますか?

農地法第5条の転用許可申請は月1〜2回の農業委員会審査を経て、許可まで3〜6ヶ月程度が目安です。農振農用地区域の場合は農振除外(6〜12ヶ月程度)が先行するため、合計1〜2年かかることがあります。市街化区域内農地は農業委員会への届出のみで転用可能(許可不要)です。

農地の相続には農地法の許可が必要ですか?

農地を相続により取得する場合は農地法第3条の許可は不要です(民法第899条の相続による包括承継は農地法の適用外)。ただし相続後に売却・転用・賃貸する際には農地法の許可が必要になります。また相続した農地は農業委員会への届出(農地法第3条の3)が義務付けられています(相続から10ヶ月以内)。

農地付き空き家の買取価格はどれくらいですか?

農地部分は農地転用の見込みが立てば宅地価格に近い評価になりますが、転用不可・農振内の場合は農地価格(宅地価格の大幅割引)での評価になります。千葉県内の農業地域では農地単独の売買価格は1坪5,000〜5万円程度が一般的目安ですが、エリア・地目・転用可否によって大きく異なります。

農地の相続登記義務化の期限はいつですか?

2024年4月1日施行の改正不動産登記法により、農地を含む不動産の相続登記は相続開始を知った日から3年以内が義務です。農地も通常の土地・建物と同様に相続登記が必要で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。

最終更新: 2026-05-27
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